呉須・色絵具の発色は「土と焼き方」でどう変わる?500種の比較見本を大公開
陶芸材料をオンラインで買うとき、一番の不安は何でしょうか?
それは、「自分の窯で焼いたとき、本当にこの見本と同じ色になるのか?」ということだと思います。
深海商店のオンラインストアでは、これまで主に「磁器土(天草陶石)× 還元焼成(ガス窯など)」で焼いた呉須・色絵具の見本皿を掲載してきました。有田焼のプロが使う、最もスタンダードな条件だからです。
しかし最近、私たちはある「葛藤」を抱えていました。
そして今回、一抹の不安を抱えながらも、500種類以上におよぶ「条件違いの見本皿」を新たに作成し、すべてオンラインストアに公開する決断をしました。
なぜ、そんな膨大な手間をかけたのか? その裏側をお話しします。
「見本と全然違う色になった」を防ぐために
オンラインストアを通じて、全国のさまざまな陶芸家さん、趣味で作陶される方からご注文をいただくようになりました。
その中で気づいたことがあります。
お客様の中には、磁器ではなく「陶器(土物)」を使われている方や、還元焼成ではなく「酸化焼成(電気窯)」を使われている方が数多くいらっしゃること。
そして、「土や焼き方が変われば、呉須や絵具の色は全く違うものになる」という事実が、意外と知られていないということです。
磁器・還元焼成の見本皿を見て「この鮮やかな青がいい!」と購入してくださったお客様が、ご自身の陶器・酸化焼成の窯で焼いたとき、色がくすんだり黒っぽくなったりしてしまう。
それは、私たちが「磁器・還元焼成だけの見本」しかお見せしていないから起きる悲劇です。
「このままでは、お客様に対して誠実ではない」
そう強く感じたのが、今回のプロジェクトの始まりでした。
500枚の見本皿が教える、色の変化の現実
お客様がご自身の環境(土・釉薬・焼き方)に近い仕上がりを事前に確認できるよう、考えうる限りのバリエーションでテストを行いました。
【今回作成した見本皿のバリエーション】
- 天草陶石(87種類)× 深海商店 石灰釉 / 還元焼成 1280℃
- 天草陶石(87種類)× 深海商店 石灰釉 / 酸化焼成 1230℃
- 瀬戸陶石(60種類)× 丸石窯業原料 石灰釉 / 還元焼成 1280℃
- 並漉粘土(30種類)× 日本陶料 3号釉 / 還元焼成 1280℃
- 並漉粘土(30種類)× 日本陶料 3号釉 / 酸化焼成 1230℃
- 特漉粘土(30種類)× 日本陶料 3号釉 / 還元焼成 1280℃
- 特漉粘土(30種類)× 日本陶料 3号釉 / 酸化焼成 1230℃
- 白信楽粘土(30種類)× 日本陶料 3号釉 / 還元焼成 1280℃
- 白信楽粘土(30種類)× 日本陶料 3号釉 / 酸化焼成 1230℃
- ※その他、有田泉山陶石 87種類など
結果は、私たちの想像以上に色味が変化しました。
正直に申し上げると、
「こんなに色が暗く(渋く)出るとわかったら、買ってもらえなくなり、売上が下がるのではないか……」
という一抹の不安が頭をよぎったのも事実です(笑)。
しかし、届いてからガッカリされるよりも、「自分の環境ならこの渋い色になるんだな」と納得した上で選んでいただきたい。
その「誠実さ」を先行させたくて、包み隠さずすべてをオンラインストアの各商品ページに掲載しました。
古伊万里に学ぶ。絵柄へのちょっとしたこだわり

今回の見本皿、ただ色を塗るだけでは美しくないと思い、絵柄は「古陶磁(古伊万里)」を参考にして有田の窯元さんにご協力していただき手描きで作成しました。

単なる色見本としてだけでなく、「この絵具を使うと、こんな線や濃淡が表現できるんだ」という、皆様の陶磁器表現の「創造性(クリエイティビティ)」を刺激するお手伝いになれば、これほど嬉しいことはありません。

まとめ:あなたの窯に、一番合う色を見つけてください
同じ絵具でも、土が変わり、炎が変われば、全く違う景色を見せてくれます。
それは決して「失敗」ではなく、陶芸の奥深さであり、面白さです。
深海商店のオンラインストアでは、現在、各商品ページでこれらの多様な見本写真をご確認いただけます。
ご自身の「土」と「窯」の条件と見比べながら、安心して、あなたに一番合う色を探してみてください。

500種以上の見本から「あなたの色」を探す
還元から酸化まで、磁器から信楽土まで。
沢山の環境を想定した色見本を、各商品ページで公開中です。
