「粉末」を溶くのと何が違う? 深海商店があえて「液体釉薬」を届ける理由
陶芸の釉薬には、自分で水と混ぜる「粉末タイプ」と、最初から液状の「液体タイプ」があります。
「粉末の方が安いし、自分で水を入れるだけだから同じでしょ?」
そう思われるかもしれません。
しかし、実は「粉末をバケツで混ぜたもの」と「深海商店の液体釉薬」は、物理的に全くの別物です。
そこには、ご家庭の手作業では絶対に再現できない、工場ならではの「処理」の違いがあるからです。
この記事では、粉末と液体の違い、そしてなぜ深海商店の液体釉薬はトラブルが起きにくいのか、その秘密を解説します。
【結論】なぜ液体釉薬なのか?
- 粉末:安いが、「ダマ」や「粗い粒子」が残りやすくピンホール等の原因になる。
- 液体:工場で完全分散・粒度管理済み。「ボーメ50度」の基準があるため調整が楽。
1. 粉末釉薬(パウダー)の真実
粉末釉薬は、原料を混ぜ合わせただけの状態です。
メリット
- 価格が安い:水を含まない分、輸送費や容器代が抑えられます。
- 保存性:水を含まないので腐敗せず、長期保存が可能です。
デメリット(ここがリスク!)
-
「ダマ」が残りやすい:
これが最大の問題です。バケツに入れて手やドリルで撹拌しても、ミクロレベルの粒子の塊(凝集体)までは解きほぐせません。 -
焼成トラブルの原因に:
溶け残ったダマや分散不足は、焼成後の「ブツブツ(ピンホール)」や「色ムラ」「釉縮れ」の直接的な原因になります。
2. 液体釉薬(リキッド)の真実
メーカーがあらかじめ水と混ぜ、処理を施して販売しているものです。
メリット
- 手間なし:粉が舞う中、マスクをして計量・撹拌する重労働がありません。
- 品質が安定:後述する「プロの処理」が施されています。
デメリット(正直にお伝えします)
- コスト:加工賃の分、少し高くなります。
-
沈殿する:
天然の鉱物を使用しているため、時間が経つと成分が底に沈殿します。使用前にはペットボトルをよく振る必要があります。
3. なぜ「深海商店の液体釉薬」は綺麗に焼けるのか?
深海商店の液体釉薬が選ばれる理由は、単に「水が入っていて楽だから」ではありません。
「粒子の状態」と「明確な基準」があるからです。
① 工場設備による「完全な分散」と「粒度管理」
これが決定的な違いです。
私たちは工場で、専用の機械(ボールミル)を使い、時間をかけて釉薬をすり潰しています。
さらに、出荷前には必ず「篩(ふるい)」を通した厳密な粒度管理を行っています。
- 手作業(粉末):粒子がくっついた「ダマ」や、溶けにくい「粗い粒子」が混ざったままになりがち。
- 深海商店(液体):機械で粉砕させ、さらに篩で濾すことで、均一な粒子を選別。
この「粒子の細かさと均一さ」こそが、焼成トラブル(ピンホールや色ムラ)を防ぐ最大の鍵です。
「自分で溶いた釉薬だとザラザラするのに、深海商店の釉薬だとツルッと綺麗に焼ける」
その理由は、この初期処理の圧倒的な差にあります。
② 「ボーメ50度」という明確なスタート地点
釉薬の濃度調整で一番困るのが、「基準がないこと」です。
深海商店の液体釉薬は、基本的に「ボーメ濃度50度」で調整して出荷しています。
これが何を意味するかというと、「調整の物差し」があるということです。
- 「この釉薬は50度で届いたから、水を少し足して45度にしよう」
- 「前回と同じ濃さにするには、この数値に合わせればいい」
ゼロから粉を溶くのと違い、明確なスタート地点があるため、自分好みの濃度への微調整が圧倒的にやりやすくなります。詳しくは、配送時に同梱する使用説明書をお読みください。
【プロからのアドバイス】
感覚で水を足すのも良いですが、再現性を高めるなら「ボーメ比重計」を使って数値を測ることを強くおすすめします。
「いつもの50度」「薄掛け用の45度」など、数値で管理することで失敗やムラは激減します。
まとめ:その「ひと手間」は、私たちがやっておきました
粉末から自分で作るのも陶芸の楽しさですが、もしあなたが「失敗したくない」「プロのような肌合いを出したい」と願うなら、深海商店の液体釉薬をお使いください。
容器の底に成分が沈殿していることがありますが、それは濃厚な成分が入っている証拠です。
ペットボトルをしっかりと振ってください。
それだけで、工場の機械で丁寧に分散・濾過処理された「最高の状態の釉薬」が蘇ります。
面倒な「ダマ取り」「粉砕」「篩掛け」は、私たちが済ませておきました。
あなたは、ボーメ計片手に、作品に命を吹き込む「施釉」だけに集中してください。
