2026-02-16

【陶芸トラブル解決】釉薬の失敗には理由がある!よくある7つの欠陥と対策マニュアル

窯出しの瞬間、期待していた作品にヒビが入っていたり、釉薬が剥がれていたり……。
陶芸において「失敗」は付きものですが、その原因を正しく知ることで、次はもっと良い作品が作れます。

この記事では、陶磁器によくあるトラブル(欠陥)の中から、特に釉薬や焼成に関わる7つの現象について、その原因と具体的な対策を解説します。


1. 貫入(かんにゅう):釉薬に入る細かいヒビ

【症状】
釉薬の表面に、氷の割れ目のような細かいヒビが入る現象。

【原因:熱膨張の差】
焼成後の冷却時に、「釉薬が縮む力」が「陶土(素地)が縮む力」よりも大きいと発生します。
釉薬が素地に引っ張られ、耐えきれずにピリッと割れてしまうのです。

【対策】

  • 釉薬を変える:カオリンや珪石など、骨格となる成分が多い(熱膨張が低い)釉薬に調整する。
  • 陶土を変える:熱膨張の低い陶土に変えるか、陶土に長石を混ぜて調整する。
  • 釉薬の厚み:釉薬が厚すぎると発生しやすいので、均一に薄く掛ける。

💡 貫入を「景色」として楽しみたい方へ

貫入は欠陥として扱われることもありますが、美しいヒビを装飾として楽しむこともあります。
深海商店では、磁器でも美しい貫入が出るよう調整された釉薬も取り扱っています。

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※検索結果には、一部「磁器貫入釉」以外の製品(イラボ釉など)も含まれています。商品名をご確認の上お選びください。


2. 釉メクレ・釉縮れ(ちぢれ):釉薬が剥がれる

【症状】
焼成後、釉薬がめくれて素地が見えていたり、カイラギのように縮んでダンゴ状になっている現象。

【原因:接着不良と収縮】

  • 乾燥収縮:釉薬に含まれる粘土分などが乾燥時に縮みすぎ、素地から剥離する。
  • 素地の汚れ:ホコリ、手垢、油分が素地に付いており、釉薬を弾いてしまう。

【対策】

  • 素地を綺麗に:施釉前に素地のホコリを飛ばし、油分が付かないよう注意する。
  • 濃度調整:釉薬が濃すぎ(厚すぎ)ないか確認する。

3. ピンホール:針で突いたような穴

【症状】
釉薬の表面に、プツプツとした小さな穴(気泡の跡)が残る現象。

【原因:ガスの発生】
焼成中に、素地や釉薬の中に含まれる有機物や不純物が燃えてガスが発生し、そのガスが釉薬を突き破って出て行った跡が、塞がりきらずに残ったものです。

【対策】

  • 素焼きをしっかり:高めの温度・長めの時間で素焼きを行い、有機物を完全に燃やし切る。
  • 汚れの除去:釉薬の中にゴミが入っていないか、篩(ふるい)を通す。また、釉薬の保存容器の蓋が開いていて釉薬内にゴミが侵入している場合は蓋を閉じる。
  • 焼成調整:釉薬が熔けている最高温度の時間(ねらし)を長く取り、穴が塞がるのを待つ。

4. ぶく:釉薬が泡立つ

【症状】
釉薬の一部が大きく膨らんだり、泡のようにブクブクと沸き立って固まっている現象。

【原因:過焼成とガス】

  • 焼きすぎ:適正温度を超えて焼成し、釉薬が沸騰してしまった。
  • 素地のガス:素地の中に閉じ込められた空気が膨張した。
  • 急冷:釉薬が急激に冷やされた。

【対策】
焼成温度を下げるか、釉薬の耐火度を上げることで改善する場合があります。


5. シバリング:釉薬が弾け飛ぶ

【症状】
窯出し後、あるいは使用中に、釉薬が素地ごと弾け飛ぶ現象。口縁や角が欠けることが多い。

【原因:圧縮の力】
貫入とは逆に、「陶土(素地)が縮む力」が「釉薬が縮む力」よりも大きい場合に発生します。
釉薬が素地にギュウギュウに圧縮され、耐えきれずに弾け飛びます。

【対策】
陶土と釉薬の相性が極端に悪い場合に起こるため、組み合わせを見直す必要があります。


6. ツヤ不足(失透):光沢がない

【症状】
透明釉なのに曇っていたり、表面がザラザラしてツヤがない現象。

【原因:熔け不足】
温度が低い、時間が短い、釉薬が薄いなどの理由で、釉薬が十分にガラス化していない状態です。

【対策】
焼成温度を上げるか、ねらし時間を長くして、しっかりと釉薬を溶かし切ることで改善します。また、釉薬の濃度を下げます。


7. メタルマーク:金属の跡がつく

【症状】
ナイフやフォークで擦れた跡に、鉛筆で書いたような黒っぽい線が残り、洗っても落ちない現象。

【原因:表面の微細な凹凸】
特にマット釉など表面に微細な凹凸がある釉薬の場合、金属(スプーン等)が削れて、その粉が凹凸に入り込んでしまいます。

【対策】
食器として使う場合は、表面が滑らかで、メタルマークが付きにくい設計の釉薬を選ぶのが一番の解決策です。

食器を作るならこの釉薬!

深海商店の「126HMS白マット釉」は、マットな質感を保ちつつ、メタルマークが付きにくい特殊な設計になっています。
カフェやレストラン向けの食器にも最適です。

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まとめ:失敗は「調整」のための第一歩

陶芸のトラブルは、陶土、釉薬、焼成、成形……あらゆる要素が複雑に絡み合って起きます。
たとえプロ仕様の高品質な釉薬を使ったとしても、陶土との相性や窯の焚き方一つで、不具合が起きることはあります。

大切なのは「なぜ起きたか」を考え、条件を少しずつ変えてテストすること。
深海商店は、その試行錯誤のベースとなる「安定した品質の材料」を提供することで、あなたの作品づくりをサポートします。

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この記事の執筆者

深海宗佑

佐賀県有田町出身。深海家13 代目。株式会社深海商店後継者。先祖は有田焼始祖の一人である百婆仙。熊本大学理学部理学科卒業後、東京の大手経営コンサルティング会社にて勤務。2021年8月に有田町にUターンし、有田焼及び肥前窯業圏の再興を使命に東奔西走する。