2026-02-26

有田焼の白さは「石」で決まる。世界が羨む奇跡の原料「天草陶石」とは?

「釉薬の色が、もっと綺麗に出ないかな…」
「白磁を作りたいのに、なんだか安定しない…」

もしあなたがそんな悩みをお持ちなら、原因は釉薬ではなく、「陶土」にあるかもしれません。

有田焼の透き通るような白さ。あれは、釉薬だけで作れるものではありません。
その秘密は、世界でも稀な「天草陶石」という特別な石にあります。

今回は、深海商店が心から信頼し、推奨するプロフェッショナル「香田陶土有限会社(こうだとうど)」さんの製造現場の写真とともに、その品質の秘密をご紹介します。


1. 世界でも珍しい「単味(たんみ)」で使える石

採掘されたばかりの天草陶石の原石
天草陶石の原石。この白さが有田焼の命です。


通常の陶土(粘土)は、可塑性(粘り気)や耐火性を出すために、何種類もの土や原料をブレンドして作られます。しかし、天草陶石は違います。

混ぜなくていい、奇跡のバランス

天草陶石は、砕いて水を加えるだけで、そのまま陶土として使える「単味(たんみ)」の原料です。
これは世界的に見ても極めて珍しい性質です。

  • 成形できる粘り(石英)
  • 焼き固まるガラス質(セリサイト)
  • 成形できる粘り(カオリナイト)

これらが、自然界の中で奇跡的なバランスで混ざり合っているのです。
「余計なものを混ぜない」からこそ、濁りのない純粋な白さが生まれます。


2. 全国でも希少な「スタンパー打ち」という伝統製法

香田陶土さんの土が優れている理由は、素材が良いだけではありません。その「作り方」に、他産地には真似できないこだわりがあります。

天草陶石を粉砕するスタンパー(杵)の様子
全国的にも珍しい「スタンパー」による粉砕工程。

粘りを生み出す「杵(きね)」の力

多くの製土工場では、効率の良い回転式の粉砕機を使いますが、香田陶土さんでは昔ながらの「スタンパー」を使用されています。
これは、杵(きね)で石をドンドンと打ち付けて砕く方法です。

非常に時間がかかりますが、この衝撃によって陶石の粒子が適度に角張り、絡み合うことで、機械粉砕では出せない「強い粘り(可塑性)」と「コシ」が生まれます。
ロクロを引く際の伸びの良さは、この工程から生まれているのです。

除鉄後の泥漿を篩(ふるい)に通している工程
徹底した除鉄と、細かなメッシュを通す精製作業。

純白を守る「水簸(すいひ)」と「除鉄」

砕かれた石は水に溶かれ、陶土に適した成分のみ抽出されたのち、強力な磁石で鉄分を取り除きます。
そして、写真のように細かな篩(ふるい)を通すことで、滑らかで不純物のない、真っ白な磁器土へと生まれ変わります。


3. なぜ「香田陶土」の土が選ばれるのか?

こうした丁寧な仕事があるからこそ、香田陶土さんの土は多くのプロに選ばれ続けています。

理由①:「変わらないもの」を届け続けるプライド

陶芸において最も怖いのは、「前回と同じように作ったのに、土が変わって失敗した」という事態です。
香田陶土さんのこだわりは、「変わらない物を、滞りなく安定供給すること」
問題対処の先回りを徹底しておられるからこそ、常に一定の品質を守り抜いておられます。

理由②:白磁の人間国宝が愛した土

その品質の高さは、歴史が証明しています。
かつて、白磁の分野で人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された陶芸家井上萬二さんも、長年にわたり香田陶土さんの土「のみ」を愛用されていました。
「この土でなければ、あの作品は生まれなかった」と言わしめるほどの実力が、ここにあります。

理由③:個人発送&工場見学もOK!

ここが、私たち深海商店が特におすすめしたいポイントです。
原料メーカーというと「業者間取引(BtoB)」がメインですが、香田陶土さんは「オンラインストアでの個人発送」にも快く対応してくださいます。
10kg単位から購入できるので、個人の作家さんや趣味の方でも気軽に「本物の土」を手に入れることができます。

さらに、先ほど写真で紹介した「工場見学」も積極的に受け入れておられます。
迫力あるスタンパーの音と、土ができるまでの工程を目の前で見れば、作品作りへの愛着もひとしお深まるはずです。


まとめ:良い釉薬には、良い土を。

「弘法筆を選ばず」と言いますが、陶芸においては「土選び」が作品の質を8割決めると言っても過言ではありません。

深海商店の釉薬のポテンシャルを100%引き出したいなら、ぜひ一度、本物の天草陶土を使ってみてください。その扱いやすさと焼き上がりの美しさに、きっと驚かれるはずです。

香田陶土 有限会社

白磁の人間国宝にも愛用される老舗。
個人購入OK・工場見学も歓迎です!

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この記事の執筆者

深海宗佑

佐賀県有田町出身。深海家13 代目。株式会社深海商店後継者。先祖は有田焼始祖の一人である百婆仙。熊本大学理学部理学科卒業後、東京の大手経営コンサルティング会社にて勤務。2021年8月に有田町にUターンし、有田焼及び肥前窯業圏の再興を使命に東奔西走する。