有田焼の白さは「石」で決まる。世界が羨む奇跡の原料「天草陶石」とは?
「釉薬の色が、もっと綺麗に出ないかな…」
「白磁を作りたいのに、なんだか安定しない…」
もしあなたがそんな悩みをお持ちなら、原因は釉薬ではなく、「陶土」にあるかもしれません。
有田焼の透き通るような白さ。あれは、釉薬だけで作れるものではありません。
その秘密は、世界でも稀な「天草陶石」という特別な石にあります。
今回は、深海商店が心から信頼し、推奨するプロフェッショナル「香田陶土有限会社(こうだとうど)」さんの製造現場の写真とともに、その品質の秘密をご紹介します。
1. 世界でも珍しい「単味(たんみ)」で使える石
通常の陶土(粘土)は、可塑性(粘り気)や耐火性を出すために、何種類もの土や原料をブレンドして作られます。しかし、天草陶石は違います。
混ぜなくていい、奇跡のバランス
天草陶石は、砕いて水を加えるだけで、そのまま陶土として使える「単味(たんみ)」の原料です。
これは世界的に見ても極めて珍しい性質です。
- 成形できる粘り(石英)
- 焼き固まるガラス質(セリサイト)
- 成形できる粘り(カオリナイト)
これらが、自然界の中で奇跡的なバランスで混ざり合っているのです。
「余計なものを混ぜない」からこそ、濁りのない純粋な白さが生まれます。
2. 全国でも希少な「スタンパー打ち」という伝統製法
香田陶土さんの土が優れている理由は、素材が良いだけではありません。その「作り方」に、他産地には真似できないこだわりがあります。
粘りを生み出す「杵(きね)」の力
多くの製土工場では、効率の良い回転式の粉砕機を使いますが、香田陶土さんでは昔ながらの「スタンパー」を使用されています。
これは、杵(きね)で石をドンドンと打ち付けて砕く方法です。
非常に時間がかかりますが、この衝撃によって陶石の粒子が適度に角張り、絡み合うことで、機械粉砕では出せない「強い粘り(可塑性)」と「コシ」が生まれます。
ロクロを引く際の伸びの良さは、この工程から生まれているのです。
純白を守る「水簸(すいひ)」と「除鉄」
砕かれた石は水に溶かれ、陶土に適した成分のみ抽出されたのち、強力な磁石で鉄分を取り除きます。
そして、写真のように細かな篩(ふるい)を通すことで、滑らかで不純物のない、真っ白な磁器土へと生まれ変わります。
3. なぜ「香田陶土」の土が選ばれるのか?
こうした丁寧な仕事があるからこそ、香田陶土さんの土は多くのプロに選ばれ続けています。
理由①:「変わらないもの」を届け続けるプライド
陶芸において最も怖いのは、「前回と同じように作ったのに、土が変わって失敗した」という事態です。
香田陶土さんのこだわりは、「変わらない物を、滞りなく安定供給すること」。
問題対処の先回りを徹底しておられるからこそ、常に一定の品質を守り抜いておられます。
理由②:白磁の人間国宝が愛した土
その品質の高さは、歴史が証明しています。
かつて、白磁の分野で人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された陶芸家井上萬二さんも、長年にわたり香田陶土さんの土「のみ」を愛用されていました。
「この土でなければ、あの作品は生まれなかった」と言わしめるほどの実力が、ここにあります。
理由③:個人発送&工場見学もOK!
ここが、私たち深海商店が特におすすめしたいポイントです。
原料メーカーというと「業者間取引(BtoB)」がメインですが、香田陶土さんは「オンラインストアでの個人発送」にも快く対応してくださいます。
10kg単位から購入できるので、個人の作家さんや趣味の方でも気軽に「本物の土」を手に入れることができます。
さらに、先ほど写真で紹介した「工場見学」も積極的に受け入れておられます。
迫力あるスタンパーの音と、土ができるまでの工程を目の前で見れば、作品作りへの愛着もひとしお深まるはずです。
まとめ:良い釉薬には、良い土を。
「弘法筆を選ばず」と言いますが、陶芸においては「土選び」が作品の質を8割決めると言っても過言ではありません。
深海商店の釉薬のポテンシャルを100%引き出したいなら、ぜひ一度、本物の天草陶土を使ってみてください。その扱いやすさと焼き上がりの美しさに、きっと驚かれるはずです。
